診察券をつくる前に

診察券を
つくる前に
診察券をつくる前に:診察券作成のポイント

診察券をつくる前に知っておくべきこと

診察券をつくる前に、診察券にはどんな役割があるのか再確認しておきましょう。診察券には大きく分類すると「患者さん(利用者)にとっての役割」と「クリニックにとっての役割」があります。クリニックには、なぜ診察券が必要でどんな役割を果たすのかをしっかりと把握しておきましょう。

患者さんにとっての機能

1)クリニックの名前をストックできる

1度足を運んだことのあるクリニック。院内の雰囲気や先生の丁寧な治療の印象は残っていても「クリニックの名前までは憶えていない」というケースが多くあります。内科、外科、歯科、耳鼻科と複数のクリニックを訪れ、それらのクリニックの印象と診療科目とクリニックの名称をむすびつけるのが診察券の大きな役割です。あたりまえ過ぎてほとんど意識することのない診察券の機能ですが、患者さんにとっては診察券を必要とする最も大きな機能と言えます。もし、診察券がなかったとしたら、クリニックの名前を自分でどこかにメモしておかなければなりません。診察券を患者さんに配布することは、クリニックに必要不可欠な配慮と考えて間違いありません。

2)クリニックの情報を確認できる

クリニックの診察券があると、予約やお問い合わせをするための電話番号や住所、診療時間、休診日など、クリニックの情報を得ることができます。

3)予約状況を確認できる

診察券の裏面に「予約表」を入れた場合(予約制のクリニックの場合)、患者さんが自分の予約状況を確認することができます。それは、自分の通院履歴にもなるので、いままで何回通院したのかを知ることもできます。

クリニックにとっての機能

1)クリニックと患者さんを結びつける

患者さんにとっての役割「クリニックの名前をストックできる」と同じ役割ですが、クリニックにとっても患者さんにクリニック名を憶えてもらうために診察券が大きく機能しています。どんなに心地よい内装に配慮し、素晴らしい治療を行ったとしても、忙しい毎日の中で患者さんがクリニックの名前や場所を忘れてしまったとしたら、2度とクリニックに来院することはできません。診察券は、クリニック名、住所、そしてクリニックのイメージを1枚のカードに集約し患者さんに提供することで、訪れたことのある患者さんとクリニックを結びつける重要な役割を担います。

2)オペレーションの効率化

診察券に患者さんのナンバー(No.)を記載することで、パソコンやノートに蓄積した患者さんの情報と照らし合わせ、効率よくオペレーションを行うことができます。近年では診察券の電子化が進み、磁気カードやスマートフォンのアプリなど、効率化の選択肢が増えてきました。パソコンをはじめ、オペレーションの効率化には、予想される患者数、ランニングコスト、10年後、20年後といった長期を想定した場合のメンテナンス費用など、クリニックの規模とコスト面をしっかりと考慮して選択する必要があります。

3)情緒的価値の伝達

無数のクリニックが存在する日本では、クリニックが健全な運営を続けていくためにも患者さんに「選ばれる」必要があります。患者さんはインターネットをはじめ様々なカタチでクリニックの情報を収集し、例え遠くにある病院でも評判のいい医療施設には足を運ぶ時代です。「選ばれる」ために何をしたらいいのか?というのは医療に限らずあらゆる分野に求められる課題です。

経済が成長する初期段階では、技術をはじめとした「機能的価値」が評価されてきました。例えばミネラルウォーター500mlを100円で買ったら喉の渇きを癒やせて体にもいい、といったことが機能的価値となります。経済がある程度成熟すると技術が製品やサービスの格差を縮め、どこでも同じような料金、同じような品質、同じような効果を期待できるようになり、利用者が「選ぶ」基準として「機能的価値」だけでなく「情緒的価値」も重視するようになりました。例えばこのミネラルウォーターはフランス産の貴重な水で主に女性向けにつくられ多くの有名人が飲んでいる、というのが情緒的価値です。

例えば歯科クリニックの場合、機能的価値と情緒的価値は以下のようになります。

  • 機能的価値: 虫歯がきれいに治る
  • 情緒的価値: 先生が親切で院内の雰囲気もいい

診察券では、クリニックが意図した「安心感」「モダン」「明るさ」「女性向け」「ポジティブ」といったイメージをデザインで表現することで、患者さんにとっての情緒的価値を伝達することができます。