診察券をつくる前に

診察券を
つくる前に

診察券に「かわいい」は必要か?

2021.02.10

診察券を作成するときに、まず「どんな診察券にしようか?」と考えると思います。印刷の素材もいくつかの種類がありますが、多くの人が思い描く「どんな?」とはつまり「デザイン」です。シンプルなデザイン、派手なデザイン、ポップなデザイン、シックなデザイン。デザインと言っても選択肢の幅がありすぎて困ってしまいますよね。デザインによる印象は実に様々です。清潔感がある、重厚感がある、親しみがある、モダンな趣がある。診察券のちょっとしたデザインのさじ加減で、クリニックの印象まで違ってきます。そして、近年圧倒的に支持される形容詞が「かわいい」です。

「かわいい」っていったい何?

「かわいい」は、幼いものに対して「愛らしい」の意味を込めて使う言葉ですが、若い女性が何かにつけ「かわいい」を連発するようになってから、既に20年以上の年月が経っています。「かわいい」の対象は人に限らず、かわいい食事、かわいい動き、かわいいイベント、かわいい音楽、かわいい企画書という感じで多岐に渡ります。モノトーンのクールな洋服やシワくちゃな顔をしたおじいさんにまで「かわいい」が使われる始末で、もはや本来の意味を置き去りにして「かわいい」が使われているのが現代です。重厚感のある高い値段の皿を手にとって「かわいい」と言う女性の表現力はいかがなものか?という思いはありますが、いまの日本において「かわいい」は「Good」であり「いいね」とほぼ同じなのです。「かわいい」をよく使う人も昔は若い女性に限定されていましたが、現在では性別や年齢層を問わず、多くの人が使っている賞賛の言葉です。

主に若い女性が使う「かわいい」は、愛らしいという意味とは違った場合でも使われているようですが、概ね賞賛と肯定の意味で使われています。そのため、あらゆる「かわいい」物事は「歓迎されるもの」として理解してもいいでしょう。とても大雑把な理解ですが、コミックやアニメの世界を中心に今や日本から海外へと広がった「かわいい」は、日本を代表する文化の1つとなっています。

診察券は「かわいい」方がいいのか?

では、クリニックの診察券が「かわいい」必要があるのか?と言えば、答えはイエスでありノーです。「かわいい」は好感をもたらすキーワードですから、クリニックの印象をアップさせたい場合、診察券が「かわいい」方がいいに決まっています。ですが、重要なのはクリニックのブランディングです。ブランディングというと難しく聞こえますが、ブランディングとはつまり「整合性」です。

例えばクリニックを安定感があってモダンなクリニックとして確率したい場合、ロゴやWEBでも安定感があってモダンなデザインを採用することでしょう。クリニックの外装や室内の雰囲気も、キリッとスッキリとしたものにすると思います。そういうクリニックが診察券だけ「かわいい」テイストだったらおかしなものです。他のものでまとめているクリニックのイメージと整合性が合致しないからです。クリニックのブランディングと合わなければ、いくら「かわいい」診察券をつくっても利用者は混乱するだけです。

子供も嫌がらず気軽に通院できるクリニックを目指すなら「かわいい」診察券は最適と言えます。また、心療内科や動物病院が「かわいい」雰囲気をクリニックに持ちたい場合、利用者が明るい気持ちになれるような「かわいい」診察券をつくるのもいいでしょう。肝心なのはクリニックのブランディングに「かわいい」が適しているかどうかです。